恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~


「聞いたか? オレもそーとークチは悪りぃほうだが、世の中上には上がいるもんだ。さすがのオレもおっさんにはかなわねぇや」

「“おっさん”じゃないわァ。アタシ、『禁断ノ果実』のママ、マンゴーちゃんよォ」

「へいへい、マンゴーでも、パパイヤでも、ドリアでも勝手にしてくれ」

どーでもいいような、投げやりな感じのミュウ(仮名)の言い草。

「ざ~んねんでしたァ。パパイヤちゃんは先月、ドリアちゃんはおととい入店した新人のコに命名しちゃったんですゥ」


ふたりのやりとりを見ながら、ポカ~ンとクチを開けてしまっているあたし。

どうやらミュウ(仮名)に連れてこられた場所は、いわゆる“オカマバー”だったみたい。

想像するに、自分のことを“マンゴーちゃん”と言うバーのママは、まだお店が開店前だからメイクもなにもしていない、タダのおじさんそのものだった、ってことだと思う。


「それにしてキレイもの好きのアタシからしてみれば、ありえなァ~いって感じだけど、ミュウちゃん、そんなコ汚い小娘のどこがいいワケ?」

「…って!!」

あたし、カッチーン!