恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~



「………」

あたしは、まちがっても自分がアイドルだなんて思ったことは1度だってない。……ってか思い込もうとしても無理だと思う。

けど彼の言うように、あたしの言動がまわりのヒトたちにいつも影響を与えているみたいに思っていた部分は、たしかにあると思う。

だから何も言い返せなかった。



「もしかして自分で気づいてねぇならココでハッキリ教えといてやるが、お前は日本全国どこにでもいるような……そこいらじゅうにゴロゴロしてるような、ナンのへんてつもねぇタダのオンナ……ってか、まだいっちょまえのオンナにさえなってねぇ“少女”だ」



「あたしはタダの……少女……」



「まわりのニンゲンたちだって、お前のこと、タダの少女としか思っちゃいねぇ。だからタダの少女の言動にイチイチ敏感に反応したりなんかしねぇんだ」



「………」