恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~



「いいか?」


「え……?」


「オレはヒトさまに対して、エラそうに何かを教えてやれるような立派なニンゲンじゃねぇ。けど、少なくともお前よりは長いあいだニンゲンやってる。だから“ニンゲンのセンパイ”として、ひとつだけ言っといてやる。人生のワンポイントアドバイスだ」


「人生のワンポイントアドバイス……?」


「お前、まわりに自分がどう思われてるかって、いつもまわりの目を気にしているみたいだが、ソイツは“自意識過剰”ってヤツだ」


「あ、あたしが自意識過剰っ!?」

今までの人生で、自分が自意識過剰だなんて1度も思ったことがなかったあたしは、彼の言葉に、それこそ過剰なくらいに驚いた。

だって自意識過剰っていったら、自分のルックスに自信があったりとか、自分には他のヒトにはないスゴイ才能があるとかって自惚れているような、いわゆる“ナルシスト”に特有の感覚だよね?

自分で言うのもナンだけど、あたし、ルックスには自信ないし、トクベツなんかの才能があるわけでもないから、ナルシストになれるような要素なんて何もないよ。