そう言って2階から“チュッ”と投げキッスを飛ばす彼女だけど、謎のイケメンはまるで顔の前に飛んできたうっとおしいハエでも追い払うような手つきで、それを払いのけると、やっぱり表情も変えずに歩き続ける。
「ねぇ、いいの?」
あたしは訊かないではいられなかった。
「なにが?」
あたしのほうを見ず、歩きながら答える彼。
「あのヒトたち、あなたの知り合いでしょ?」
「知り合いってゆーか、腐れ縁だな」
「知り合いにあんなクチきいていいの? あんなこと言って、相手がイヤなキモチにならないかって考えないの? 相手に嫌われたらどうしようかって心配にならないの?」
あたしなら心配になる。……ってか、あんなクチ、ゼッタイきいたりしない。
「アイツらとは昨日、今日の付き合いじゃねぇ。オレのクチが悪りぃのも、アイツら、よぉ~く知ってやがる。それを知ってて、アイツら、オレの知り合いやってくれてんだ」
「でも……」
「だからだ。だから、アイツら、オレに何を言われても怒りゃしねぇし、オレもそんなアイツらだからこそ、ナンの気がねもなくヘーキでひでぇことも言えるんだ」


