恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~


カァー、カァー……


だけど通りに無造作に置かれたゴミ袋をあさっているカラスたちを見ると、まるでこの世の果てにでも来てしまったような……そんな虚無感を感じざるをえない。



「よぅ、ミュウさん、またねこを拾ってきたのかい? お前さんも好きだねぇ」



……と、そのとき不意に、とある飲み屋さんの店先を掃除していた中年の男のヒトが、親しげに謎のイケメンに声をかけてきた。

その鼻の下にはやしたチョビひげは、彼が堅気(かたぎ)のニンゲンではないことの、ある意味シンボルマークみたいに見えた。


「オレの勝手だ。ほっとけ、ハゲ」


好意的な感じで声をかけてきたチョビひげのヒトに対して、そう言い放つ謎のイケメン。

たしかにチョビひげのヒトは、ツルンツルンのスキンヘッドだけど、あいさつ代わりに声をかけてきたヒトに向かって、そんな言い方をするなんて、あたしにはとてもありえないことだった。

「ところがどっこいハゲも手入れがたいへんなんだぜ。毎朝、毎朝、鏡を見ながら電気カミソリでジョーリジョリってな♪」