「オレとしても、できればお前に飼ってもらいてぇところだが、ねこアレルギーじゃそうもいかねぇだろ?」

あたしはとめどなく流れる涙と鼻水をハンカチで拭きながら、黙ってうなずいた。


「世の中には星の数ほどのノラねこがいて、そんで星の数ほどのニンゲンがいる……」


「………」


「だからオレとコイツらとの出逢いは、まさに天文学的数字の確立で起こった“キセキの出逢い”ってヤツだ」


「キセキの……出逢い……」


あたしは思わず彼の言葉を繰り返していた。

そして頭の中では、その「キセキの出逢い」という言葉が、何度も何度も繰り返しリフレインされていた。



「キセキ的に出逢ったコイツらことは、責任をもってオレが面倒を見る。じゃな♪」

そう言うと、大事そうにダンボール箱を胸に抱えて、あたしの前から去っていく彼。

その背中が夜の闇の中に、完全に見えなくなってしまうまで、しばし呆然と見つめていたけど…、