「まぁな」

一心不乱に食べているこねこたちを見ながら、目を細めている彼。

「あたしもノラねこに会ったときは、なんかしてあげたいって思うんだけど、結局いつも何もしてあげらんない……ホント、あたしって中途半端だね……」

軽く自己嫌悪……。


「ノラねこはいつも腹をすかせてる。だからニンゲンが“おいで、おいで”をすると、なんかくれるのかと期待しちまう」

「………」

「けどな、中途半端なやさしさくらい残酷なモンはこの世にねぇと思う。期待させて裏切るくれぇなら、ハナから無視してくれたのほうがまだマシってもんだ」

あたしは“まったくこのヒトのいうとおりだ”と思いながら、しばらく黙って彼といっしょに、こねこたちの食事を見守り続けた。



しばらくして……、



「よっこらせ、っと」

おなかがいっぱいになって満足した顔で眠りについたこねこたちが入ったダンボール箱を、おもむろに抱え上げる謎のイケメン。