恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~




「す、スイマセン、センパイ……大事な練習の途中にこんなことさせちゃって……」

保健室に向かって、廊下を進みながらあたしが言う。……ってか、歩いてるのはセンパイで、あたしはその背中におんぶされてるだけなんだけどね。


よくある表現で、現実離れした、夢見心地のような状態のことを“夢うつつ”って言ったりすることがある。

だったら今のあたしは、恋しいヒトの背中におんぶされて、地に足がついていない……例えるなら、まるで天国の雲のじゅうたんの上を歩いているみたいなフワフワした“恋うつつ”の心地だった。


「気にすんな。それより保健室で応急処置してもらったあとは、ちゃんと病院に行ったほうがいいと思うぜ。鼻の骨も折れてないか診てもらったほうがいいと思うし」

「えぇーっ……」

それを聞いてあたしは泣きそうになった。

けど、それはバレーボールが直撃した痛みからではなく、ただでさえ低い鼻が骨折して今以上に低くなったらどぅしよう、って不安になったからだ。


それはそれで心配なんだけど、それはそうと、さっきから何げに感じてることがある。