恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~

あたしの目鼻がこんなになっちゃったってことは、近くにねこたんがいるって証拠だ。


「出てこないならエサで釣るまでよ♪」

…と、一度、駅前のコンビニまで戻ったあたしは鶏のからあげを買ってきて、それを手に再び道路の中央分離帯の植え込みの中に、すでにキズだらけのナマ足を踏み入れた。



数分後、信号で停車したトラックのちょっとコワもての運転手のおじさんに……、

「ねーちゃん、どうした? なにか落し物でもしたんか?」

……って訊かれたあたしは……、

「あの、ねこが植え込みの中にいるみたいなんです」

……ってありのままを答えた。

するとおじさんは……、

「へぇ。今どき、ねーちゃんみたいにやさしいコもいるもんだなぁ」

……としきりに感心すると、最後に「ねこを助けるのもいいが、ねーちゃんもクルマに轢かれないようにな」という言葉を残してトラックを走らせていった。


もぅもぅと立ちこめるトラックの排気ガスにコホコホとむせたあたしは、次の瞬間……