恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~

だから当然もちろん、あたしはセンパイに「ハイ」と返事をした。


「今度は今日のみたいに地味な感じのヤツじゃなくて、もちっと派手めなハリウッド系のアクション映画がいいなァ。わんこちゃん、それでいい?」


くどいようだけど、あたしはゼッタイ「イヤ」って言えないニンゲンだ。

頭で考えるより先に、クチが勝手に動いて「ハイ」と答えていた。

もっとも頭でじっくり考えたところで、センパイからの映画のお誘いを断ったりなんてするはずないんだけどね。



それからJR新宿駅に向かって歩きながら、センパイは自分の好きな映画のハナシを、身振り手振りを交えながら熱く語ってくれた。

ハリウッド系の映画をほどんど見ないあたしにとってはすごく新鮮なハナシだった。


そして別れ際、山の手線の乗車口に立つセンパイは、ホームに立つあたしに言った、

「見たい映画が決まったら部活のときに声かけるから、わんこちゃんも見たい映画のリクエスト考えといてくれよ。じゃ、またな」

まもなくドアが閉まり、センパイを乗せて走り出す電車が線路の彼方に見えなくなるまで、あたしの目は釘付け状態だった―――