恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~

そっか……そーいうことだったんだ……。


その瞬間、センパイも実は密かにあたしのことが好きで、部活のとき、あたしをチラ見してるだなんて、身勝手はなはだしい妄想をしていたことが、死にたいくらいに恥ずかしくなった。


その一方で頭の片隅にある、まだ少し冷静な部分が別の考えを瞬時にめぐらす。

よく考えるとお互いさまじゃん。

あたしだって、センパイのこと、そんなに知ってるワケじゃないし……。

ナンにも知らないクセに、センパイのこと好きになっちゃったりして、あたしって思いっきりタダのメンクイじゃん。

そう思うと、やっぱり死にたいくらいに恥ずかしくなる。



「あのさ、自分から映画に付き合うなんて言っといて途中で寝ちまって、オレもわんこちゃんには悪いと思ってんだ……」

「いえ、そんなこと気にしないでください……あたしも全然気にしてないですし……」

あたしが生まれて15年間のあいだに見た映画の本数は、ゆうに500を超えている。

だけど小っちゃい頃、父に某アニメ映画に連れていってもらった以外だと、男のヒトと映画を見たのは初めてだった。