「あ、あの、センパイ……」
その声が聞かれて恥ずかしいくらいに震えていた。
「んあ?」
「あ、あの……き、訊いていいですか?」
「いいよ、なに?」
「せ、センパイはどうしてあたしが“わんこ”だって知ってたんですか?」
訊けたァ、やっと訊けたァ!
だけどセンパイはあたしの勇気を振り絞っての質問に対して、軽く受け流すみたいな感じでこう答えた……、
「あぁ……、ぶっちゃけ、キミのことはそんなによく知らねぇんだ」
……って。
「え……?」
「けどホラ、いつも体育館で、あゆみとかバレー部のコたちがキミのこと“わんこ! わんこ!”ってデケェ声で呼んでんだろ? だからキミの名前と顔だけは知ってて、そんで声をかけたってわけさ」
「………」


