だけど、この言葉にできないような全身がザワザワするような感覚は、たとえ2時間モノの恋愛映画を100本……いや1000本見たところでゼッタイ分からない感覚だ。
これからの未来、たとえCGとか映画の技術がどんだけ発達したとしても、そしてどんだけ演技の上手い役者が現れたとしても、このカラダの芯からザワめくような感覚は、映画ではゼッタイに感じさせられない感覚だ。
どんだけよくできた映画でも、たった2分の現実にはかなわない。
だって映画は、所詮作りモノだから――――
“それにしても”とあたしは思った。
そして“こんなことなら一度家に帰ってシャワー浴びてくるんだった……”って心の底から後悔した、
井川センパイ、きっと、部活のときに流したあたしの汗の臭いをかいでると思う。
センパイにあたしのこと、汗くさいオンナだと思われたらどぅしよう……。
そう思うと“コノ密着状態を解除しなきゃ”って焦るんだけど、その一方で“このまま時間が止まってほしい”とも思う――――
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