「“飼う”って一子……」
助手席の母がクチを開く。
「もう名前も決めたんだっ、オトナの黒ねこは“ミュウト”、チビは“ミュウタ”」
「でも一子は、ねこアレルギーでしょ?」
「うん、だから、どうしても飼うのが無理だって判断したら、責任もって里親を探すっ」
「お前、簡単に言うけどな……」
父が心配するのも無理はないけど、ここで引き下がれば中途半端のままだ。
「世の中には星の数ほどのノラねこがいて、それと同時に、星の数ほどのニンゲンもいるんだよっ……だから、あたしとあのコたちとの出逢いは、ホント、天文学的数字の確立で起こった“キセキの出逢い”だと思うっ」
全部ミュウトの受け売りだけど。
「せっかく名古屋まで来たのに猫カフェがなくなってたのはショックだったけど、でもコレはミュウトの……猫カフェのヒトのお導きだと思うっ。あのコたちのお世話をしろ、って、あたしに言ってるんだと思うっ」
「………」×2
黙り込んでる父と母。
「ねっ、いいでしょっ? あのコたちを飼ってもいいよねっ? ちゃんとエサとかトイレのお世話も、あたしがするよ、責任もって全部するからっ」


