恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~


助手席のドアミラーの中に、見る見る小さくなっていく黒い2匹のねこたんたちの姿が見えてしまったんだ。


切なくて止まらない涙。

そして、キュンと締め付けられる胸の痛み。



「中途半端なやさしさくらい残酷なモンはこの世にねぇと思う。期待させて裏切るくれぇなら、ハナから無視してくれたのほうがまだマシってもんだ」



はじめた逢った日、ミュウトはそう言った。

だから……、


「止めて!」


……と、あたしは叫んだ。

「なんだ、一子」

「お願い、父さん、クルマを止めて!」

「え……?」

後部座席から見る運転席の父の横顔に、軽く困惑の色が浮かんで見えた。

「あたし、中途半端はしない……だから、あのねこたちを飼うよっ」