恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~



「わんこ……いや、一子ちゃん、部活のとき、いつもみんなより先に来て準備して……そんで、いつもみんなが帰ったあとも、ひとりで残って後片付けとかしてるし……あと、上級生にどんな無理難題を言われても、いつも笑顔で“ハイ”って言って、言われたことをなんとかこなそうと必死に頑張ってる姿もスッゲェいいな、って思ったんです」


「センパイ……」

井川センパイ、あたしのこと、ちゃんと見ていてくれたんだ……。

頑張ってやってても、目に見える成果とか、見返りがないと、自分ひとりで頑張ってることが、なんだかすごくバカらしく思えるもんだけど、頑張ってれば、どっかで誰かが見てくれてるんだね……。

あたしが今まで、ヒトにどんなことを頼まれてもゼッタイ「イヤ」って言わずに頑張ってたこと、ムダじゃなかったんだ……。

あたしがやってきたこと、間違いじゃなかったんだ……。


嬉しかった。

そのときのあたしの感情を言葉で表現するなら“嬉しかった”以外のなにものでもない。

まわりくどい比喩とか、修飾語でデコったおしゃれな表現なんていらない。

ただ“嬉しかった”のひと言に尽きる。