乙女にとって、そんじょそこらの宝石なんかよりプレミアもんの価値があるファーストキスを、ほかならぬミュウトのために捧げようとしたのに、なに、その態度っ!?

失礼しちゃうにもほどがあるよっ!!


「いいよっ。ソッチがそーいう態度なら、もう土下座してお願いされたって、ミュウトにはファーストキスあげないんだからっ」

「いるかよ、そんなもん。お前さ、エラクもったいぶったようなこと言ってっけど、そーいうところが自意識過剰ってんだ。言っとくが、自分で思ってるほど、お前のファーストキスには、たいした値打ちなんてねぇぞ」

「もォ、ミュウトには分かんないよ! 女のコにとって、どんだけファーストキスが大切かなんてこと、分かるはずないよ!!」


そりゃあね、しようと思えば、いつでもどこでもキスはできるよ。

ましてやナンバー1ホストでオンナに不自由してないミュウトなら、キスなんて外国人同様、ほんのあいさつ程度のものなのかもしれないよ。

でもね、100万回のキスよりも、1億回のキスよりも、たった1回のファーストキスのほうが値打ちはあるんだよ。

ひとりの女のヒトが死ぬまでに何回キスするか分かんないけど、ファーストキスは最初で最後の1回っきりのキスなんだから、プレミア以上の超プレミア付きのお宝だっていっていいと思うよ。