――アイツは…“あの日”からアタシのこと名字で呼ぶようになった。









『あすかーッ♪何やってんの?』



すると後ろからアタシに抱きつく女の子。


アタシの親友の玲だった。



「なんかさー…日誌でパシられた」


『まじ!?もう1人誰!?』



「敬太…」



『ウザいね…』



アタシは頷きながらため息をつく。




―地毛の茶髪に整った容姿。


サッカー部のレギュラーで、副生徒会長。


敬太を見れば、

《天は二物を与えず》


っていうことわざなんか嘘っぱちだと分かる。




昔はよく遊んだりしてたのに、今や日直などの義務的なことでしか関わらなくなった。





「なんかまじ家帰りたい…」






家で泣きたい…




『…何かよく分からんけど…元気出しな!』



アタシの暗い表情に何か感づいたのか、

それ以上玲は何も聞いてこなかった。





またいつも通りに平凡な1日が始まってる…









本音はアイツのことが好きでたまらないのに









踏み出す勇気が出ない…





そうして、


何も変わらないままに毎日が過ぎていく







アタシはすっかり恋に臆病な女だった












それはきっと



去年の4月1日の出来事もあるから…




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