どうやら隣の部屋の食器が割れたようだ。窓も開けており女の声が聞こえてきた。

『あぁ落ち着いてよ。食器を割っちゃダメだよ!』

『お前はだまってろ。』

どうやら恋人同士で揉めてるみたいだ。

『カズくんがこの人と浮気してると思って・・・』と別の女の声が聞こえてきた。

あー三角関係か。

『あっはは!!』と女が笑った。

その声を聞いて疑った。

その後、笑う女は続けた。

『もうおかしい。あっはは。あたしはカズのお兄さんの同級生なの。まぁ中学生までカズの家が隣同士で仲良くしてて最近この近くで再会したの。今日はあたしの母親から預かってきた料理を届けにきたの。だけど、素敵な彼女がいるなら、もう必要ないかな?やましいことはないから安心してね。』

まぁ、よくもこんなにペラペラ話す女だ。さっきの笑い声はあいつに似てた。


カズの彼女が泣きながら『二人ともごめんなさい。三角関係だと疑って食器も割ってしまって・・・』

カズの幼なじみは『じゃーね。今度からは彼女さんに作ってもらいなよー。はは。バイバイ。』とすばやく家を出ていったようだ。


隣の部屋の修羅場を盗み聞きして、仕事へ行く準備をした。

だけどあの笑い声が耳に焼き付いて、また離れなくなった。


春の風と共に新しい笑い声が運び込まれてきたようだった。