NOEL(ノエル)


「ジェニファーか。久しぶりだな。
今日は何の情報を買いに来た?」

女は単刀直入に訊ねる。

「前に見せてくれた彼、セシル・イレイズの情報はある?」

ジェニファーがそう答えると、女は途端に表情を固くした。

「ジェニファー、セシルはヤバイよ。
アイツに関わるのは止めときな。」

「ごめん。どうしても必要なの。

どんなネタでもいいんだ。お礼はちゃんとするから・・・
だから…レイ、お願い!」

「・・・OK.分かった。
ただし、情報料はDランクだよ。」

「うん。分かった。」

女は軽く肩をすくめると、手元のスイッチで画像と音声ををスクランブルモードに切り替えて、話を続けた。

「相変わらずヴォルケーノは超満員。

だけど、ここいら辺じゃアイツのライヴはヤバイって噂で持ちきりだよ。

一度行っちまったら止められなくなる。

体が禁断症状を起こすらしい。まるでドラッグだ。

そのうち政府がヴォルケーノに営業停止処分を出すなんて事も囁かれてる。」