「あ・・・、アルベルト様がそこまで言うなら仕方ないけど」
ジェニファーはアルベルトの瞳から視線を逸らすと、
「危ないコトはビルにやらせるって約束してね。」
そう言って益々頬を赤くした。
「な、何だよ!それ」
ビルは憤慨した声をジェニファーに投げる。
「それじゃ、話を先に進めてくれ。」
「をい!」
「今日はこの話をしに来たんだろ。」
アルベルトは静かにそう言うと、持って来たジュラルミンケースを持ち上げた。
「待って。」
ジェニファーはアルベルトの手をそっと押さえ、自分の腕にはめたブレスレットをテーブルの中央へ向けると、
「ネタはココにあるよ。」
小さなターコイズブルーのボタンをポチリと押す。
―― すると、テーブルの中央にホログラムで作られた小さなタキシード姿のウサギが現れた。
ウサギは、吊り上った大きな石榴色の瞳をジェニファーに向け、小さく三つに分れた口元を開く。
「合言葉をどうぞ。」


