「お・・・オケオケよ。」

ビルは指でOKサインを作り、「な?」とアルベルトを振り返る。

「あぁ。」

アルベルトは無表情にそう言うと、アームチェアーの一つに持って来たジュラルミンケースをトンと置いた。

「良かった。」

ジェニファーはそう言うと、白い生き物からヒラリと舞い降り、長い角の生えたその頭をポンポンと撫でた。

「いい子だから、ちょっと待っててね。」

生き物はブルブルッと軽く体を揺らすと、ゆっくりと踵を返して歩き出す。

「ね、ジェニファーちゃん、あれはもしかして、ユニコーン?」

ビルの目は、興味深々でその白い生き物を追う。

「そ。 もちろんフェイクだけど・・・ね?」

ジェニファーはダイヤの着いた右の睫毛をパチリと閉じてみせた。