ψ4. 取り出されたデータ



青白いライトに照らされたドームウエイの中をAirワゴンが滑るように走る。

周りには何台ものAirカーが列をなして走っているが、ワゴンの中には外からの音はほとんど聞こえて来ない。

前方に『Biofarm-M-06』と書かれた表示が見えると同時に、ニコルは左に大きくハンドルを切った。

「ったく、なんでアタシが運転してるわけ?
Airカーのライセンス取ったの、ついこの間だよ?
そのアタシに運転させるなんて、どういうオトナ達だよ全く!!」

「いやー悪いなニコ。
まさかコイツが暴れ出すなんて思ってなかったからさ。」

ワゴンの後部を映すモニターには、ドタドタと暴れる大型のアンドロイドを必死で押さえつける男が二人。

そのうちの一人がニコに向かって拝むように片手を上げた。

「おい!バカヤロー、手離すんじゃねぇユーロ。」

ガイはユーロを怒鳴りつける。
あわててユーロは手を戻し、顔だけモニターに向けて叫んだ。