ψ13. 隠されたファクトリー





ガイの工業用アンドロイド製造ファクトリーは、分厚いコンクリートの壁に囲まれた巨大な箱の中に在る。

その中身は工程ごとに色分けされた床により大きくブロック分けされ、その要所には管理用アンドロイドが配置されていた。

中央の作業台の上に乗せられ運ばれていく製造途中のアンドロイドは、どちらかというと人というよりマシンに近い形状をしている。


「それにしても・・・ミルクはどうしてこのファクトリーを選んだんだ?
こんな油臭い所より、もっと女の子が喜びそうなファクトリーは沢山あったろうに・・・。」

ガイは真剣な眼差しで製造の工程を見つめるミルクに訊ねる。

「理由はとてもシンプルです。

私は小さい頃からメカニックなモノが好きだから。

アルみたいに遺伝子の可能性に未来を見るというよりは、マシンの性能を高めていく方に興味があるの。」

「ほう。」

ガイは僅かに口元を緩めながら、栗色の巻き毛をきっちりと結い上げたミルクの後姿を見る。

「マシンの可能性は無限にあると思いませんか?
そう・・・例えば、NANOとVINOの技術を融合させれば尚更に・・・。」

「これは驚きだな。」

「何か、おかしいですか?」

ミルクは、おそらくエドのガイノイド用のコスチュームと思われる、メタリックシルバーの短いプリーツスカートを翻して振り向いた。