NOEL(ノエル)


「もう、歌わせない。
二度とライヴは開かないわ。

それでどう?」

「信用できません。」

「本当よ。
だってセシルはエドからの預かりモノだもの。
私のせいで公安に拘束されたなんて分かったら、エドに顔向け出来ないわよ。」

「エドに・・・ね。」

フィンはふっと息を吐いて小さく呟く。

「どうして彼がセシルを匿うような真似をしてるのか・・・、僕には全く理解できないな。」

「フィン?」

「いいでしょう。
あなたが約束を必ず守ると言うのなら。

ただし、もしまた今回のような事があれば、その時は容赦しませんよ。

セシルを拘束し、ボルケーノを営業停止処分にします。」

「結構よ。」

ベラは真直ぐにフィンを見据えると、低い声で応えた。