ψ6. 消せない記憶




ニコルは夢を見ていた。

幼い頃から繰り返し見るその夢は、10年以上経った今でも鮮明な映像としてニコルの脳裏に映し出される。

忘れようとしても忘れられないその映像は、父、母との最後の記憶でもあった。


*

3歳になったばかりのニコルは、母親-レミの、聞いた事も無いような金切り声で目を覚ます。


「どうして?
どうしてあなたがVINOへ行くの?!」

「4年掛かった。
カロルの事を調べるのに4年掛かって、やっと手がかりが掴めたんだ。」

「その事は・・・
なぜ姉さんが死んだのか、なぜ遺骨も帰ってこなかったのかは、私も父さんもずっと知りたいと思ってた。

でもそれはもう終わった事よ。

姉さんはVINOに渡った時からもうNANOの住人では無くなっていた。

姉さんはNANOを捨てて・・・

VINOに殺されたのよ!!」