「中毒症状・・・ですか?」

「ああ。
今までもセシルのライヴの後には中毒症状が出て病院へ搬送される奴らがいたって聞いてたけど、ここまでじゃなかったと思う。

あそこまで理性を無くしたら、人型に戻った時に後遺症が出るかもしれないな・・・。」

「後遺症?」

アルベルトがそう問いかけた時、

「何だあそこ?!」

ユーロが指差す先、ステージ後方の壁に光る『emergency exit』のサインの下には、小山のような巨大な塊が出来ていた。

「あれは・・・」


――ズキッ


(え・・・)

アルベルトはその方向に目を遣った自分の胸に、唐突に鈍い衝撃が走るのに気づく。