「じゃ、僕、行ってくるね。」 セシルはそっとベラから離れると、後ろでに手を振りながら階段を駆け下りて行く。 ベラは迂闊にも伸びてしまった腕の茶色い毛を、肩から羽織った薄いストールの下に隠すと、じっとその後ろ姿を見つめていた。 (あと何回出来るかしらね・・・あの子のライヴ。 今のうち、たっぷり稼いでおかなきゃ・・・。 ええ。たっぷりとね・・・)