「あ~らニコ、こうなったのは元はと言えばヤツらのせいなのよ?
こっちは何にも悪い事はしてないのに、混乱するだの危険だのってイチャモン付けてさ。

此処だってやっと見つけた場所なのよ。
政府だの何だのって言ってられないのよ。

だいたい、これだけ観客が増えちゃったんじゃ、並大抵の場所じゃ収まりきらないじゃな~い?」

ベラはそう言って深紅に塗られた指の先で、隙間無く埋まっている観客席を指し示す。

「そりゃまぁそうだけど、こっちは何かあったら即撤収だよ?
気が気じゃないって・・・。」

ニコルがぼやくと、

「あ~ら、そうだったわね。
エドやニコには悪いコトしてると思ってる。

でもね、このライヴはみんなが切望しているライヴなの。
押さえきれない想いの結晶なわけよ。
そこのところ、分かって欲しいのよね~。」

ベラはニコルに向き直ると、その大きな掌をニコルの頭から頬へと滑らせた。