ψ11. 開かれた扉





エネルギー貯蔵施設の中は薄暗かった。

僅かな光だけで物を認識出きるアンドロイドにはそれほど多くの光は必要ではないからだ。

貴重なエネルギーを節約する為に、VINOの公営施設では必要最低限の環境設備しか設置されていない。

(このコンタクトを着けてなかったら、何も見えないところだったな・・・)

アルベルトは心の中で呟く。

三人はあらかじめ指定された場所へと、所々に示された案内サインを頼りに無機質な壁で囲まれた通路を歩いていた。

ミルクの肩が大きく上下しているのが分かる。

(ミルクちゃんにはちょっとキツかったか・・・)

空調設備の無い通路は蒸し暑く、淀んだ空気が充満していた。

ビルはミルクの背中をツンツンと触ってみる。

ミルクは振り向く事無く、微かに首を縦に振った。

しかし、通路の行き着く先にあるモノを見た時、一瞬ミルクの歩みが止まった。

その目は大きく見開かれ、僅かに恐怖の色が浮かぶ。

(あれがエネルギー輸送手段なのか・・・)

先頭を歩くアルベルトもその信じられない光景に目を見張った。