(メルサは何故今までアルベルトの不在に気づかなかったのか・・・。

あるいは気づいていてそれを隠していた?

いや、そんなはずはない。
アンドロイドのメルサにそんな事が出来るはずがない。

なら何故・・・)

影は少しずつその色を濃くしていく。
しかし、ゼオにはそれを消す事が出来ない。

(そんなはずはない・・・

そんなはずはない・・・

そんなはずは・・・)

ゼオは謂れの無い不安を振り払うようにぶるぶると頭を振ると、何事も無かったかのように端末をOFFにし、デスクの上の書類に目を落とす。

(スイッチは押されている。
もう、押されているのだ・・・。)