「いえ、今のところ何も入っていませんよ、理事長。
何か問題でも?」
「アルベルトが家を出たらしい。
恐らく、行き先はNANOだろう。
政府から各学校へNANO渡航不許可の通達を出した矢先だからな。
彼らは別の方法でNANOへ行かせる手はずになっていたが、その手間が省けたというものだ。」
――ヒュー
音声モニターから感嘆の息が漏れる。
「さすがは裏のネズミだなぁ。
彼はやる事が早い。
今GPSで位置確認をしたところ、彼ら、既にNANOとの境界線付近まで来ていますよ。
けど、妙だな。
場所の特定が出来ない・・・。」
「死角という訳か・・・。」
「その様ですね。
ですが、問題はありません。
彼には定期的な報告を義務付けていますから。」


