「あのさ、お前ら、さっきさっさと帰っちゃったのは、こういう理由だったわけ?

端から僕を当てにしてたわけなの?」

「悪いな。
あの時考えられる様々なケースをシミュレーションしてみたんだが、それがいちばん効率良く安全かつ合理的だという結論に達した。」

「そういう事よ。」

ビルは大きな溜め息を吐きながらアルベルトとミルクの顔を交互に見る。

「全く・・・お前らどこまで頭の回転が速いんだよ。
そういう事は、まず僕が考えてお前らにレクチャーするってのが順序だろう?」

「時間が無いのよ。分かるでしょう?」

ミルクは切羽詰った表情でビルの顔を覗き込む。

「国が絡んでいるとなると、NANOへのゲート自体閉ざされるのも時間の問題だろう。

VINOのエネルギーはゲートを経由しなくてもNANOから供給される仕組みになってるし、物資に関しても非常時の為にVINOには常に一年分くらいの備蓄はされていると、以前父親から聞いた事がある。