「この時期だから行かせるのだよ、Dr.ハイバラ。

アルベルトには、この先NANOで起こる全てを見る必要がある。
VINOの将来を担う、次期指導者としてな。」

「でも・・・」

ハイバラは、自分のコーヒーカップに砂糖を落としながらその目をモニターへ向ける。

「16歳の彼には、少しばかり刺激が強すぎるんじゃないかなぁ?

始めて目にする異国の地が、壊れていく様を見るのは・・・」

ゼオは、「くっく・・・」と嗤いながら、座っている肘掛け椅子をくるりと回し、

「君がいなかったら、起こり得なかった事だよ。ハイバラ君。 それに・・・

君もアルベルトとさほど年齢は変わらない筈だが?」

そう言ってハイバラの顔を見上げた。