ψ6. 闇を抱く青年



「いいんですか?理事長、Dr.イレイズはアルベルト君の事を大分心配されてるみたいですけど・・・」

「白の翼」特別研究室。

一年前、「白の翼」の理事長も兼務するゼオ・イレイズによって特別に設けられたその部屋には、只一人の研究員しか入ることを許されていない。

Dr.ハイバラというIDカードを着けた白衣の男は、ゼオ・イレイズにコーヒーを差し出しながら訊ねる。

その指先は、華奢な体に相応しく、か細く青白い。

「かまわない。
エレナに全てを話したところで、彼女を混乱させるだけだ。」

ゼオ・イレイズは、その男- キョウ・ハイバラにそう言うと、コーヒーを口元に運びながら正面のモニターに現れるグラフと数値の動きを目で追う。

「しかし、何もこの時期に彼をNANOに行かせなくても・・・」

ハイバラは声を落として呟く。