0センチラブ



「なっ、何よ、家ぐらい一人で帰れるし!!」



「は〜!?オレがせっかく助けてやったのに!!」



「何から助けたのよ!!」



「暗い夜道から♪」




…助けたっていうか、あんたがあたしを怖がらせたんじゃん。





「ふーんだ!!」



あたしは一人でさっさと歩き始める。



「んだよ、何怒ってんだよ〜!」



楽々数歩であたしの歩くスピードに追い付いてくる。




「あー、月が綺麗だなー!」


隣を歩く楓太は、夜空を見上げて、そう言った。





………何でこんな………。






あたしは気付けば、







走りだしていた。






もう、昔には、




戻れない。