ぅ…どうする?!

「ぁの…。」
ボクは、勇気を振り絞り声をかけた。

「何か?」
振り向きもせず、薔薇姫は応えた。

「椅子の下に消しゴムが。」
「で?」

で?って??

フツーそこ拾うだろっ!!



「…拾えということですか?」
一呼吸置き、薔薇姫から問いかけてきた。

「はい、よかったら。」


―ふわっ

物音もせず、薔薇姫はボクの消しゴムを椅子の下から取った。

「どぉぞ。」
にっこりと微笑んだ。

「…りが…と。」
いつみても、どくりと心臓が跳ね上がりそうになる微笑み。
それとは対象に冷たい声。



ボクは、薔薇姫から消しゴムを受け取った。

するといきなり、僕の耳の横に薔薇姫の顔が近づいてきて―



「放課後、付き合えや。」




…??

「聞こえなかったのか?放課後、体育館裏で待ってっカラ。」



はぁああ?!



何なんだ?この口調―
本当に、薔薇姫?!

もぐもぐ…

ボクは、中庭のベンチでサンドウィッチをほおばっていた。



「何暗い顔してるん?まぁ、いつも無愛想だけど、今日は一段とブッサイクっちゃな~」

俺の隣は、いつもつるんでる孝太郎ってヤツ。コイツは語尾に、~ちゃをつける変なヤツ。


「だいいち、サンドウィッチ食ってて、もぐもぐはねぇだろっ!!」

孝太郎は、憎たらしいほどにゲラゲラ笑う…。



うっぜー




「今、うっぜーとかおもったっしょ?そこが俺の売りなんだっちゃ~」


「意味わかんねーつーの!!」



一発孝太郎の頭を殴り、自分の教室へと戻った。