ドサドサドサッ

この音はー…?

「ほら、早くやれよ。」
紀奈は、アゴでボクに指図した。

「これは…?」
「ぁ?ラブレターだよ。」
「はぁあ?!」

ボクに会いたかった理由は…

パシリー?!


「ほら、さっさと書くっ!!」
紀奈に頭をビシビシと叩かれ、しぶしぶ書き始めた。

紀奈が謝ってくれたから、なんか良いコトでもあるのかと思ったら…、やっぱりコレか。

「隼人ぉ」
「はぃ?」

「わるかったな。」
ボクの顔を見ずに、紀奈はぽつりと言った。

「ぃいえ。」

「その…ぇと、友達でいてくれよな。」
「こちらこそ。」

なんだろう?
胸が、とても軽くなった感じがする。
紀奈に会えただけで、こんなにもこんなにも―

嬉しくなるなんて。

「なぁなぁっ!」
ボクが返事を書き終えた頃、紀奈はなにやらおめかしをしていた。

「なんでしょうか?」
「どっか出かけないか?」

紀奈と、2人きり―…。
お出かけ?!

「はぃ…////」
「どうした?顔が赤いぞ?」



「ぃいえっ!!!!」




「何処行くかな~…。」
紀奈は、地図を覗き込んでいる。



「水族館は?」
「スイゾクカン?なんだそれ?おいしいのか?」

こんのお嬢様はぁ~…。


「世間知らずっ!!」
「なっ…なんだよぉ~。」

紀奈は、ボクを睨んでくる。


「魚がいっぱいいるトコロですよ。」



「なんだ、お寿司屋さんか、結局食べるじゃないか。」

違ーうッ!!



もぅ、ヤダこの世間知らずお嬢様…。
ついていけない。

「魚がいっぱい泳いでいるトコロですよ。神秘的で、見てると落ち着きますよ♪」

「魚が泳いでるの見てナニが楽しいんだ?」



紀奈は、サラッとそういうコトを言う。



冷酷人間っ!!