「暑ーい…」
中2の夏。昨日3年生は引退したところだ。
「真由!」
後ろから名前を呼ばれて振り返ると、篠原 早苗がいた。
私の名前は宮本 真由。
バスケ部で彼氏はいない。
でも好きな人はいる。
好きな人は野球部だ。
ちなみに早苗もバスケ部で私の一番の親友だ。
「今日は男バスと半面だねえ」
男バスとは男子バスケットボール部の略で女子は女子バスケットボール部略して女バスで、半面とは体育館を半分ずつ使うということだ。
「男子は女子より迫力あるよね。」
「身体がでかいからだよ。早苗はそんなことより八束のこと見てるか」
「…そんなことないよっ!」
早苗は顔を赤くした。
八束 陽介は早苗の彼氏でとにかく身長がでかい。
「あ、井上だよっ」
「えっやばい!顔おかしくないよね??」
「大丈夫だよっかわいいって」
井上 伊織は私の好きな人。
幼なじみだが小学5年の時くらいからはお互いあまり話さなくなった。
でも私は小さい頃から井上のことが好きだった。
ひまわりみたいに笑う井上は、投手でマウンドに立つと真剣になる。
そんな顔も全てが大好きだった。
でもずっとクラスも離れていて、今では片思いだと自分でめわかっていた。
それでも好きだった。