一歩一歩。

大事に1段ずつ上る。


1段上るたび、あたしの期待はだんだん小さくなっていく。


その代わり、鼓動と不安が大きくなっていく。



階段を上りきったあとにはもう不安しかなくなっていた。


大きく、深呼吸をしてからドアの取っ手に手をかける。


取っ手を回して体重をかけて想いドアをあけると、ぶわっと強い風があたしのおでこに当たった。


屋上に来たときには、心の中には不安も緊張も期待もなにもなかった。


ただ、鼓動がドクンドクンと大きくなっていて、あたしは屋上のフェンスにもたれかかる中島の元へ歩き出す。




『中島・・・』


その声に中島はハッとして、あたしを見た。


その視線に緊張しながらもあたしは歩き続けた。



あたしの顔はもう顔が熱かった。


中島はほんのり赤く染まりながらもあたしを真直ぐ見つめていて・・・。






「あの・・・さ」