でも、そんなあたしの努力も無駄だった。
急に視界が真っ黒になったと共に、やさしいぬくもりがあたしを包んだ。
しばらくして、あたしは中島に抱きしめられているということが分かった。
『?!』
中島の体を押した。
視界がやっと見えると目の前に中島が立っていた。
トマトの中島がこちらと見ている。
あたしだって中島に負けないくらいトマトなはず。
でも、運良く抱きしめられているところは誰にも見られてなかった。
「なんか、りんごあめみたいなほっぺただね」
やさしい笑顔でつぶやくように言う中島の言葉に鼓動が早まる。
優しい声でそんな真直ぐに見られたらますます赤くなっていくじゃん。
「中島はトマトだよ」
ドキドキしながらもお返しをした。
精一杯中島の目を見て―・・・。

