『・・・中島?』
中島はハッとして明らかな作り笑顔をした。
「ごめん、なんかボーっとしてた」
そう言って上履きに履き替え、鞄を持って歩く彼を見ながら、あたしはただ立ち尽くすだけだった。
バカみたいだ。
中島がいつもどおりに話しかけてきたのは気まずくならないため。
ただの中島の優しさ。
中島は、小川さんが好きなんだから―・・・。
今までよく分かっていた。
中島の気持ちなんていたいほど分かっていたはずなのに。
悲しくなってきた。
うるっ
やだ、泣きそう。
でも、ここで泣いたらまた中島に余計な心配かけちゃう。
ぐっと我慢した。

