『中島、耳赤くない?』
「はっ?!別に?」
焦る中島の声にますます赤くなる中島の耳。
『ふふふ』
「なんだよ、急に笑い出して。気持ち悪」
中島の毒舌がなんだか照れ隠しのように思える。
『ここから近いよっ。10分くらいかな。』
そう言いながら傘を開くあたし。
それからまたいろんな事話した。
でも、小川さんとの事は聞けないまま。
気付けば、あたしの家の近くの角まで来てた。
『いいよ、ここまでで。家そこだし』
あたしの指差した方向を見て中島は分かった、と言った。
「じゃあ…」
『うん…』
なんだかぎこちない別れ方。
雨の中なんだか小さく見える中島の背中を見て堪えきれなくなったあたしはアイツの名前を呼んでた。
「何?」
振り返った中島はいつもの中島の顔だったけどどこか暗い。
『さっき…あのあとどうだったの?』
さっきとは祭りの時。
あのあととは中島が小川さんを追いかけたあと。
ついに、聞いてしまった。

