あんなに泣いたあとなのにまたときめくあたしの心。
なんだか複雑な気持ち。
『くしゅんっ』
あたしの突然のくしゃみにあたしも中島も驚く。
「こんな気温なのにずっとその格好でいたら風邪ひくだろ」
そう言ってあたしに着ていたパーカーをかぶせる。
ドキン
中島のパーカーをぎゅっと握る。
中島は優しいんだよね。
改めてそう感じた。
中島はあたしに傘を1本渡すともう1本の傘を開いてあたしを見た。
「家どこ?送る」
『えっ。いいよ。もう暗いんだし…』
「ばーか。」
『いたっ』
デコピンされたから反射的にそう言っちゃったけど本当は痛くない。
いつも通りの優しいデコピン。
「お前は女だろ、仮に。こんな時間なんだから1人じゃ危険だろ。」
『仮に、は余計です』
なんだか少女漫画みたいな状況。
なにはともあれここは素直にお礼を言わなきゃ。
『ありがと。』
言いながら照れちゃう。
ふと、後ろ姿の中島を見る。
…あれ?

