平凡な恋の話 No.1

『おぉ・・・』

演奏が始まってしばらくすると歓声が上がった

理由は簡単

海我先輩と私が歌いだしたからだ・・・

誰でも知ってる超メジャーな歌

でも、誰も知らない私の気持ち・・・

当然だけどねっ

歌いたくないのになんだか楽しい・・・

歌ってるときにこんな気持ちになるなんて

今まで1回もなかったのに、なんでだろう?

『ふぅ~ん、うまいじゃん

 声も明るくっていいんじゃねぇ?』

間奏中に海我先輩が話しかけてきた

『私が歌ってる声が明るいなんて言った人

 先輩が初めてですよ・・・』

嬉しいような嬉しくないような・・・

微妙な感じだったけど、体は正直だ

私の顔を勝手に笑顔にしていた

曲が終わると拍手の嵐がおきた

瑠璃も‘すごいよぉ’と笑いながら言ってる

照れくさいなぁ・・・ エヘヘ☆

『歌ってくれた、えっとぉ・・・名前は?』

司会者っぽい先輩が私に名前を聞いてきた

私はにこっと笑って自分の名前を言った

『春音美紅さん、ありがとぉございましたっ!!

 これで歓迎コンサートを終わりますっ!!

 吹奏楽部はとっても楽しい部活だから

 ぜひぜひ入部してくださいねぇ

 起立、礼!!』

『ありがとうございましたぁ』

歓迎コンサートが終わった・・・

私が瑠璃のところにいくと・・・

『みくぅうううううううっ!!

 あんたいいよぉ、とってもいい!!

 なんであんな良い声してるのに今まで歌わなかったの?!』

すぐに瑠璃が私の腕をつかんで

にこにこしながら質問してきた

瑠璃、力強いなぁ・・・

なんて思いながら

『歌うのが嫌いだから、ただそれだけだよ』