平凡な恋の話 No.1

『今からぁ歓迎コンサートをはじめます』

わぁ~い(棒読み

堂本先輩はホルン、海我先輩はトランペットを

吹いているみたい・・・

1曲目、2曲目、3曲目・・・

最後の曲は6曲目らしい

『えぇ・・・と

 最後曲は誰か新入生の中で歌ってほしいんだけど・・・』

最後の曲の前にクラリネットの女の先輩が

立ち上がって、私たち新入生をきょろきょろと見回した

歌・・・

『ねぇねぇ、みく』

私の右隣にいた瑠璃がはなしかけてきた

『なに?』

『みくってさぁ、絶対音感もってるんでしょ?

 その声聞いたことないと思うんだけどなぁ・・・』

にやりと笑う瑠璃

なんかちょっと怖いオーラが出てる気がするな・・・

『・・・あまり人前では歌いたくない・・・

 ごめんね・・・』

正直な気持ち・・・

『ふぅ~ん、絶対音感かぁ

 俺と一緒ってことかぁ・・・

 よし、春音、お前歌えっ』

『へっ!?』

私たちの話を盗み聞きしていたのは

『海我先輩!!』

『なんだよ・・・

 いますぐこい、すぐにこい』

キッとにらむようにして海我先輩は言った・・・

怖い、怖い・・・

私はイヤイヤながら指揮をしている人と、

海我先輩の間に立った

と、すぐに演奏は始まった

知ってる・・・曲・・・

歌いたくない、歌には良い思い出がないから・・・

でも体が求めている・・・

歌を・・・歌わせてほしいと体が、喉が、口が

勝手に動く・・・