「里緒ちゃん?」
「は、はい?」
「セリフ覚えた?」
「あ、はい…」
つい
ぼーっとしてた。
私の側にはあの高梨先輩がいるのに…
何で
あんな奴の事ばっかり…
「今日は俺とのシーン多いみたいだし、一緒に頑張ろうね?」
高梨先輩が言うと私は笑う。
高梨先輩…
私は高梨先輩の事は
やっぱり尊敬なのかな
自分がわからない。
一緒にいると
落ち着くのは
一緒にいて
ドキドキするのは……?
すると
「おい、バカ里緒。」
――ドキッ
「ば、バカ?」
呼ばれて振り向くと
夏川大地が。
「表情が固い。不細工な顔が更に不細工になるぞ?」
「は、はい?」
な、夏川大地…
「ちゃんと見ててやるからよ。ちゃんとやれ。」
夏川大地が言う。
夏川大地…………。


