てか
抱き合うシーン練習するもんなんだ…。
ドキドキ止まらないし。
「次は、お前から俺の手を握るシーン。」
「へ?」
さっきから
おかしくない?
抱き合うとか
手握るとか…
「お前には自分と演技を分けられるようになってもらいたいからな。」
夏川大地が言う。
「自分と演技?」
「上手く分けられたら、女優の一歩を進められる。」
夏川大地が言う。
一歩…。
「頑張るよ。」
私は夏川大地に笑って
言う。
だけど
「まだ序章だ、これは。恋愛ドラマだから、俺と触れ合う機会は多いぞ?」
夏川大地が言う。
「へ?」
「里緒が俺を好きになってもおかしくないくらいのシーンあるし。」
「え!やだ!」
私、即否定。
「俺はいいよ。お前の男になってやっても。」
夏川大地が言う。
「い、嫌だもん!」
私が言うと夏川大地は笑った。


