すっきりなはずなのに…
やっぱり私は
夏川大地が…。
完全に嫌になんか
なってないの……?
「良かった。里緒ちゃんが夏川と離れて。」
帰りの電車で
高梨先輩が言う。
「……え?」
――ドキッ
「夏川には何でも勝ちたいから。」
高梨先輩が言う。
「それって…?」
「里緒ちゃんの事も。」
高梨先輩が言う。
……え……
顔が熱くなる。
「夏川が嫌なら俺がこれからは里緒ちゃんの面倒見る。」
高梨先輩が言う。
「いいんですか…?」
「舞台、急遽やめになったからさ。」
「そう…なんですか。」
「だから里緒ちゃんの修業は俺が何とかする。」
高梨先輩が笑って言う。
高梨先輩…。
「私でいいんですか?」
「里緒ちゃんがいい。」
高梨先輩が言う。
私が……。


