「ふん。俺は悪くない。
こいつがキスシーンの
練習に応じないから…」
「い、嫌に決まってるよ…」
ただでさえ
今、
後ろから
抱きしめられてるのも
精一杯なのに…
それに
初キス、私…
まだだし。
「もしかして
初キスまだとか?
高1で!」
夏川大地が笑って
言う。
……う……
「もしかして…マジ?」
夏川大地が私に聞く。
私は小さく頷く。
「やっぱモテないんだ。こいつは。」
夏川大地が言う。
や、やっぱ!?
「夏川、言い過ぎ。
里緒ちゃんは純粋
なんだよ。」
高梨先輩が言う。
高梨先輩〜。
「初キス、俺にしとけよ。俺のは最高だぜ。」
夏川大地が私の耳元で
そう囁く。
だけど
「は、初キスは好きな人とじゃなきゃだめ。」
私は夏川大地に言う。
大事だもん。
夏川大地は嫌。


